LINEから個人情報が盗まれる原因について実例・対処法もあわせて紹介

日常的に使うLINEですが、知らぬ間に個人情報が盗まれてしまうリスクが潜んでいます。実際に「LINE経由で情報が漏れた」「乗っ取られた」などの被害報告も少なくありません。この記事では、LINEからどのようにして個人情報が抜き取られるのか、その具体的な手口と背景を明らかにします。また、実際の事例を交えながら、どんな情報が狙われやすいのか、そして盗まれないためにできる予防策や、万が一のときの対応法までわかりやすく紹介します。
この記事で分かること
- LINEから個人情報が盗まれるリスク
- 実際にあったLINE個人情報流出・漏洩事例
- LINEから個人情報が盗まれる原因と注意すべき行動
- LINEから個人情報を盗まれないための具体的な対策
目次
LINEから個人情報が盗まれるリスクとは?
LINEは多くの人が日常的に使うコミュニケーションツールですが、その便利さの一方で、個人情報が盗まれるリスクも存在します。特にフィッシング詐欺や不正アクセスといった手口により、ユーザーの名前や電話番号、住所などの情報が第三者に知られてしまう事例が増加しています。ここでは、LINEからどのようにして個人情報が特定されたり、盗まれたりてしまうのか、また、どんな情報が狙われやすいのかについて詳しく見ていきましょう。
LINEから個人情報が特定されたり盗まれたりする仕組み
LINEから個人情報が特定・盗難される主な仕組みには、「フィッシング詐欺」「アカウント乗っ取り」「不正アプリのインストール」「外部サーバーとの不正通信」などがあります。特に注意すべきは、LINE公式を装った偽のメッセージに含まれるURLです。これをクリックして偽のログイン画面にIDやパスワードを入力してしまうと、その情報が第三者に渡り、不正にアカウントへアクセスされる恐れがあります。不正ログインにより、トーク履歴やプロフィール、友だちリストなどから、氏名・連絡先・交友関係といった個人情報が特定され、悪用される危険性があります。また、マルウェアが仕込まれた不正アプリをスマートフォンにインストールすると、端末内部の情報や通信内容が外部へ送信され、位置情報や端末固有IDなどが無断で取得されるケースも報告されています。このような手口を通じて、利用者の個人情報が特定・流出するリスクは年々高まっており、細心の注意が必要です。
LINEで狙われやすい個人情報の種類
LINEで特に狙われやすいのは、以下のような情報です。まず「氏名」「電話番号」「メールアドレス」といった基本情報は、アカウント乗っ取りや他サービスへのなりすましに利用される恐れがあります。また、「トーク内容」には個人の生活や趣味、家族構成などが含まれるため、悪用されると非常に厄介です。さらに、「送金履歴」や「LINE Pay情報」など、金銭に関する情報も重要なターゲットになります。ビジネス用途でLINEを使っている場合は、取引先情報や業務連絡が漏れることもあるため、企業としてのセキュリティリスクにもつながります。
実際にあったLINE個人情報流出・漏洩事例
LINEの利用者が増える一方で、実際に個人情報が漏洩したとされる事例もいくつか報告されています。いずれも、私たちが日常的に使用するLINEにおいて起こりうるリスクを象徴するものであり、同様の被害を未然に防ぐためにも、事例の把握は重要といえるでしょう。
ここでは、日本国内で発生したLINE関連の漏洩事故や不正アクセスの事例、そして海外からのサイバー攻撃に起因する情報流出のケースを紹介します。
国内で報告された事例
2021年3月、LINEが業務委託していた中国の関連会社が、ユーザーデータにアクセスできる状態だったことが発覚し、大きな社会問題となりました。具体的には、日本国内のサーバーに保管されていたLINE利用者の画像や動画などのデータに、同社の中国の技術者がアクセス可能だったという内容です。この問題は、総務省がLINEの利用停止を検討する事態にまで発展し、多くのユーザーの不安を煽りました。
また、LINE公式アカウントを悪用したなりすまし・乗っ取り被害も報告されています。企業の公式アカウントを装ってメッセージを送り、そこに記載されたフィッシングリンクを開かせることで、個人情報を抜き取る手法です。こうした攻撃は、友だちリストを経由して拡散することもあり、被害が広がりやすい傾向にあります。
出典:
LINE、個人データ管理不備で謝罪 中国委託先で閲覧可能 – 日本経済新聞 (2021年3月17日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ1709O0X10C21A3000000
海外からのサイバー攻撃事例
2023年11月には、韓国NAVER社と連携するLINEヤフー株式会社に対し、外部からの不正アクセスがあり、約44万件にのぼる情報漏洩が確認されたことが報道されました。これは海外拠点の委託先の業務システムを経由して社内システムへの侵入が行われたとされており、LINEアカウントに関連する氏名、住所、電話番号などが含まれていました。
特に注目されたのは、攻撃者が標的型メールを用いて委託先企業にマルウェアを仕込むことで、そこから段階的にネットワーク内に侵入し、機密データへとアクセスしていた点です。このような攻撃は、企業のサイバーセキュリティ体制だけでなく、委託業者も含めた全体のセキュリティ対策の重要性を示しています。
出典:
LINEヤフー、個人情報流出発表 ネイバー経由で44万件か – 日本経済新聞 (2023年11月27日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC270BU0X21C23A1000000
LINEから個人情報が盗まれる原因と注意すべき行動
LINEは多くの人が日常的に利用するコミュニケーションアプリですが、その利便性の裏にはセキュリティリスクが潜んでいます。悪意のある第三者はさまざまな手法を用いて、LINEを通じて個人情報を盗み出そうとしています。ここでは、特に注意すべき3つのリスクとその対策について詳しく解説します。
フィッシング詐欺の見分け方と対策
LINEを通じたフィッシング詐欺は、ユーザーをだまして偽のログイン画面や公式サイトに誘導し、IDやパスワード、クレジットカード情報などを盗み取る手口です。近年では、LINE公式アカウントを装った偽メッセージが送られてくる事例も増えています。
例えば、「LINEアカウントが不正利用されました。こちらから確認してください」といった文面とともにURLが送られ、クリックするとLINE風の偽ログインページが表示されるケースがあります。ユーザーがうっかり情報を入力してしまうと、その情報が第三者に渡り、乗っ取りや不正アクセスに発展することがあります。
対策としては、以下のような行動が有効です。
・LINE公式アカウントであっても、メッセージ内のURLにはすぐにアクセスしない
・LINEのドメイン「line.me」など、正規のURLかどうかを必ず確認する
・公式サイトやアプリ内からしかログインしない習慣をつける
・不審なメッセージは無視・ブロックし、LINE側に報告する
フィッシング詐欺は巧妙化しており、見分けるのが困難な場合もあります。日ごろから冷静に対応し、「慌てず、すぐにクリックしない」ことが最も基本的かつ重要な対策です。
LINEアカウントのパスワード管理の重要性
LINEアカウントの乗っ取り被害の多くは、「簡単すぎるパスワード」「他のサービスとの使い回し」「長期間の変更なし」が原因となっています。攻撃者は、辞書攻撃や過去の漏洩データをもとに自動的にパスワードを試す「ブルートフォース攻撃」などで、アカウントを狙います。
特にLINEの場合、パスワードが突破されると、トーク履歴・連絡先・プロフィール情報・スタンプ購入履歴・決済情報(LINE Pay等)にアクセスされるリスクがあり、被害が多方面に及ぶ可能性があります。
以下のようなパスワード管理を徹底することで、リスクを大幅に減らせます。
・8文字以上かつ英数字・記号を組み合わせた強固なパスワードを使用
・定期的にパスワードを変更する(最低でも半年に1回が目安)
・他サービスとの使い回しを避ける
・2段階認証(SMSコード認証)を必ず有効にする
また、第三者にパスワードを知られるリスクを減らすため、パスワードはブラウザやメモアプリなどに保存せず、信頼できるパスワード管理アプリを利用することが推奨されます。
ウイルス付きファイル・リンクに注意
LINEのメッセージ機能を通じて送られてくるファイルやリンクにも注意が必要です。悪質なリンクを開いたことでスマートフォンやPCにウイルスが侵入し、個人情報が抜き取られるケースが報告されています。
具体的な例としては、「画像が届きました」「あなたの写真が載っています」といった文面でクリックを促し、悪質なスパイウェア付きのサイトに誘導されるパターンがあります。こうしたリンクを開いてしまうと、以下のような被害が発生する恐れがあります。
・LINEアカウントが乗っ取られ、勝手にメッセージが送信される
・端末内の電話帳や写真、位置情報が外部に送信される
・SNSやネットバンキング、クレジットカード情報まで盗まれる
対策としては、不審なリンクやファイルは絶対に開かないことが基本です。また、LINEのセキュリティ設定で「友だち以外からのメッセージ受信を制限」したり、セキュリティソフトを導入してウイルスの侵入を検知・ブロックすることも効果的です。
LINEから個人情報を盗まれないための具体的な対策
LINEを安心して利用するためには、日頃からセキュリティ意識を高く持ち、情報漏洩のリスクを最小限に抑えるための対策を実践することが重要です。ここでは、個人情報を守るためにできる具体的な対策を3つの観点から解説します。
プライバシー設定の見直し
LINEには、個人情報の公開範囲や通信相手を制限できる「プライバシー管理」機能があります。「IDによる友だち追加を許可」や「電話番号による検索を許可」などの設定は、悪意ある第三者にアカウントを特定されるリスクを高めるため、必要に応じてオフにしておくのが安心です。また、タイムラインやプロフィール情報の公開範囲も、「友だちまで」や「非公開」に設定し、見知らぬユーザーから個人情報が見られないように管理しておくことが重要となります。
怪しいアカウント・メッセージの対処法
知らないアカウントから届く不自然なメッセージや、知人を装った不審な依頼には注意が必要です。「至急連絡がほしい」「このURLを見てほしい」など、慌てさせるような文面でリンクをクリックさせようとするのは、典型的なフィッシングの手口です。このようなメッセージは開かずに削除し、LINEの「通報機能」や「ブロック機能」を活用して適切に対処しましょう。
セキュリティアプリ・ソフトの活用
スマートフォンにセキュリティアプリを導入することで、ウイルスやスパイウェア、不正アプリからの攻撃を未然に防ぐことができます。多くのセキュリティソフトには、フィッシングサイトの検出機能や危険なアプリのインストール防止機能が搭載されており、LINEのような通信アプリの安全性も高めることが可能です。
また、OSやLINEアプリ本体のアップデートを常に最新の状態に保つことで、既知の脆弱性を突いた攻撃のリスクも減らせます。
万が一LINEから個人情報が盗まれた場合の対応
LINEから個人情報が盗まれた可能性に気づいたときは、一刻も早い対応が重要です。被害を放置すれば、不正ログインによる成りすまし被害や、他サービスへの二次的な情報流出、さらには経済的被害にまで発展するリスクがあります。特にLINEは連絡先や住所、決済情報など幅広い個人情報が蓄積されているため、漏洩による影響が大きくなりやすいのです。ここでは、被害が疑われる状況での正しい対処法と、個人でできる実践的な対応策について詳しく解説します。
LINEのサポート窓口への連絡
最初に取るべき行動は、LINEの公式サポートへの連絡です。LINEヘルプセンターでは、不正アクセスやなりすまし、情報漏洩に関する専用の問い合わせフォームが用意されています。具体的な被害状況(いつ・どのように気づいたか、アカウントの挙動の変化、心当たりのない操作など)を正確に記載することで、迅速な対応につながります。また、ログイン履歴の確認やアカウントの一時停止措置など、LINE運営側が適切な対処を行うためにも、早期の申告が不可欠です。LINE公式アカウントにて通知される情報も逐一確認し、指示に従って復旧作業を進めましょう。
個人情報漏洩後にするべきこと
万が一、LINEに登録している名前、電話番号、メールアドレスなどが盗まれた場合には、早急にパスワードを変更し、他のサービスで同じパスワードを使い回していた場合もすべて変更しましょう。LINEは他アプリとの連携や決済機能ともつながっているため、被害はSNSの枠を超えて拡大する恐れがあります。さらに、クレジットカード番号や銀行口座、免許証の画像などセンシティブな情報が含まれていた場合は、各金融機関へ連絡し、不正利用の有無を確認したうえでカードの再発行などを速やかに依頼することが重要です。状況によっては、モニタリングサービスを利用して個人情報の不正使用を継続的に監視することも有効です。
警察や消費生活センターへの相談も検討
不正アクセスや情報漏洩によって金銭的な被害や精神的な不安が生じた場合、個人だけでの対応には限界があります。そのようなときには、最寄りの警察署に「サイバー犯罪」として被害届を出すことを検討してください。証拠となるスクリーンショットややり取りの履歴、被害の時系列などを整理して持参すると、スムーズな対応が受けられます。また、消費生活センター(消費者ホットライン188)では、ITトラブルや詐欺被害に詳しい担当者が対応し、今後の行動方針や予防策についての具体的なアドバイスを得ることができます。深刻な場合は弁護士への相談も視野に入れ、法的対応も検討しましょう。自分だけで抱え込まず、早期に専門機関の力を借りることが、二次被害の防止や心の安心につながります。
まとめ
LINEは日常的に使われる便利なコミュニケーションツールですが、その一方で個人情報が盗まれるリスクも存在します。フィッシング詐欺や不正アクセス、外部委託先からの情報漏洩など、実際に発生した事例も複数報告されており、誰にでも起こり得る問題です。
この記事では、LINEから個人情報が盗まれる仕組みやリスク、過去の事例、注意すべき行動、そして被害に遭った際の具体的な対応方法までを解説しました。これらの情報をもとに、日頃からアカウント管理やセキュリティ対策を見直すことが大切です。
また、LINEだけでなく、音声や映像などを通じて個人情報が盗まれる「盗聴」にも注意が必要です。もし身の回りで不審な気配を感じた場合は、盗聴器の発見や対策についても検討しておくと安心です。プライバシーを守るためには、日常の少しの警戒と対策を心がけましょう。